草野球とともに進化する野球盤


この記事は2011.02.10にteams前身サイト草野球オンラインのに掲載されたものを再掲載しております


誰もが遊んだ日本を代表する玩具


草野球をしている世代において、野球盤と聞いて懐かしいと思う人は少なくないだろう。

少年時代、必ず周りの誰かは持っていたエポック社の野球盤。 私も野球盤で育った野球小僧だった。もともと好きだった後楽園球場を目に焼き付け、新聞や雑誌からハサミで切り取ったものを広告に見立て野球盤に貼り、自分だけのマイスタジアムを作っていた。また、スコアボードの横に段ボールで作ったネームプレートを貼り、好きな選手でオーダーを組み、試合となれば実況を付けて試合を盛り上げ、オリジナルのスコアボードを作っては点数を付け足し遊んでいた。

野球盤そのもので楽しむことはもちろん、野球盤を通じて野球のルールを覚え、また、球場を自分なりにカスタマイズして自分だけのオリジナル球場を作れるのも、アナログの野球盤ならではの魅力だったと感じる。

この度、エポック社さんと接点を持たせて頂く機会があり、株式会社エポック社の平野大輔氏と菅沼裕一氏から野球盤に関する様々なエピソードをお聞きすることができた。


1,000万箇所の“野球盤球場”


そんな懐かしくもある野球盤は、1953年の発売以来累計1,100万台以上の販売を誇り、今なお毎年約30万台もが家庭に新たに設置され楽しまれているという。1,000万台もの“野球盤球場”が全国にあると思うと、野球盤の根強い人気はもちろん、日本における野球力は今なお健在であることが分かる。

その野球盤の歴史をみてみると、日本で初めて野球盤が登場したのは1958年(昭和33年)5月。エポック社の創業者である前田竹虎氏(故人、1918~97)によって産声を上げた。 その当時は、長嶋茂雄氏がプロ野球球界にデビューした年としても日本球史に刻まれているように、まさにプロ野球黄金期開幕の時代である。

当時の野球盤は、家具職人やこけし職人が一台ずつ手作りで作っていた、まるで”民芸品”のようであった。当時の大卒の初任給が17,000円という時代に1,850円という価格だったにもかかわらず、生産が追い付かないほど売れ、当初の予想を覆す大反響だったとのことだ。


進化し続ける野球盤


野球盤は、巨人の星の「消える魔球」やカーブを投げられる機能、ドーム型野球盤など、リアルの野球界の動きやブームと連動し、モデルチェンジをしながら様々なタイプが発売されてきた。


その中でも、2010年に発売された『野球盤スラッガー』は強力打者搭載のこれまでに無い野球盤で、バットにゴム製の高反発素材を巻きつけた特製のバットが使われているというスペシャル仕様。バッターの打った打球は勢い良く飛び出し、ビックアーチを描いて直接スタンドへのホームランも可能であり、今までの野球盤の歴史を塗り替える画期的な商品となっている。

考え方のベースになっているのは、勿論、草野球界ギアの革命と呼ばれるミズノの高反発バット 「ビヨンドマックス」である。


バッター3次元化への挑戦


2008年に発売された野球盤では、今まではゴロだった投球が空中を通り、まるでジャイロボールのようにボール自体も浮き上がるようになった。ピッチャーが3次元になったことでバッターも3次元にするべく、打球を打ち上げるような企画の検討がスタートした。バッターを3次元化するにあたり、エポック社の開発チームの10人は草野球チームや少年野球チームを直接ヒアリングしたのだが、そこで、殆どの草野球チームが少なくとも1本は持っているという高反発バット「ビヨンドマックス」を知る。


早速ビヨンドマックスを野球盤に取り入れてみようと商品化検討が始まった。しかし、イメージは出来ているのだが、ボールがうまく飛ばなかったり飛び過ぎてしまったりする。バットの形状や素材を様々なタイプで試し、バットだけで50種類以上作りだし、手の位置、スイングの起動など、実際のバットを開発するぐらい様々な項目をチェックし調整を行なった。開発チームのメンバーは、テスト打ちだけでも10万球以上は打った。指にタコができて投げるのも大変なので、野球盤用自動ピッチングマシンを作ったほどである。

数年の試行錯誤の結果たどり着いた結論は、先端が切り取られるように角度が付いたバットをゴム素材で包む、というものであった。すくった打球をバックスピンをかけつつスタンドに運ぶのである。こうして2010年11月、ピッチャー、バッターそれぞれに3次元の要素が取り入れられた、よりダイナミックに楽しめる『野球盤スラッガー』は、ようやく発売となったのである。


未来の野球盤 ~アナログの追求~


エポック社では、「野球をシミュレートする」という野球盤のコンセプト通り、野球盤を本物の野球にいかに近付けるかという事を考えており、50~100年先の世界ではボールが浮いて高さもありカーブやシュートができるようなリアルさの追求を目指す、としている。

「すべて自動でやるとテレビゲームになってしまう。1対1でお互いが向き合ってできるところがアナログ。すべてにおいてアナログは大事にしていきたい。あくまでもデジタルは味付け。」平野氏は言う。

テレビゲームも“リアルな野球に近付ける”という進化をしている中、一方の野球盤はアナログの操作でリアルの野球に近付けている。一見同じように見えるが、それぞれ手法と表現方法が異なり、ゴールも異なっている。テレビゲームはテレビ中継に近付き、野球盤はリアルな球場の野球に近付くという、それぞれ真逆の進化なのである。


最後に


今なお進化し続ける野球盤。野球ができる場所が少なくなっていく環境の中、野球盤で遊んだお父さん世代には、ぜひ野球盤で子供と一緒に遊んで欲しい。本物の野球をシミュレートし野球の楽しみを知る、そんな野球盤の楽しさと素晴らしさを家族で味わって頂きたい。



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