2011年スペシャルインタビュー【桑田真澄氏】:第四回野球界を変えるのではなく、原点に戻ること。


この記事は2011.02.08にteams前身サイト草野球オンラインのに掲載されたものを再掲載しております

第四回:野球界を変えるのではなく、原点に戻ること。





編集長

日本野球の国際化についてはどう思われますか?

桑田氏

日本のよさ、日本の強さを残しつつ、欧米を参考にするのはよいことだと思いますが、全てを欧米の真似をする必要はないと思います。僕は本当に日本の野球は世界一だと思っているので、そういった日本独自の野球文化の土台作りをこれからも大切にしていきたいと思っています。

その中でも、メジャーで参考にしたい点は、引退後の生活でしょうか。 メジャーリーガーのセカンドキャリアをまとめたデータを見て驚くのが、メジャーリーガーの中には医者や弁護士になる選手もいるんです。日本の野球界はもともと賢い選手でも勉強をさせない、する時間がない。「勉強する暇があったら練習しろ」と言われてしまいますから。野球さえやっていればよいという事を大人が言ってしまっているケースが多いんです。

勉強もしっかりやり、高校、大学まで野球をした後に、社会に出てからも野球発展のためにみんなで頑張っていける環境を作ることが大切だと思ってます。

野球の歴史をさかのぼると、日本に初めてベースボールが伝わったのは一高(東大)で、いわゆる日本のエリートが集う場所で、みんな勉強も野球も一生懸命やっていた。そういう人たちが理想とし、作り上げ、育てた野球の原点にあえてもう一度戻したいなと考えてます。当時の野球に対する考え方、野球を作り育てた先人達の野球に対する愛情、想いを受け継ぎたいと思っています。また、それを継承することが、彼らの意思だとも思うのです。

そして、日本の中で野球をやってきた人たちが、例えどの世代、どのレベルで野球をやめたとしても、将来父親になり、子供たちに野球を教えてほしいですね。そして、野球にたずさわった誰もが自信を持って野球の魅力を語り、野球って最高だよと次の世代に伝えていけるような野球界にしたいと思ってます。 僕は野球は最高のスポーツだと思っています。





編集長

プロアマの垣根を越えるためには?今後の野球界の発展のためには?

桑田氏

今のプロとアマの問題を含め、今後日本の野球界を発展させるためには、構造そのものを変えないと難しいと思ってます。もちろん、全てMLBを参考にする必要は無いと思いますが、根本的な構造を変えていかないと駄目だと感じています。

例えば少年野球は親の協力無しには続けることが難しいスポーツです。小学校、中学校までは野球に全く興味がなかった母親が、熱心に応援し、サポートする姿は珍しくありません。プレーをしているのは男の子だけど、その男の子を育てるのはお母さん。だから子供とお母さんをきちんと取り込めば、野球は継続的に続く。

メジャーリーグでは、子供とお母さんを巻き込む戦略を立て、機構が各チームと連携して野球の普及に努めている。

日本の場合もコミッショナーにもっと権限を与えて、野球界の課題を整理し、ひとつひとつ変えていく必要があるのではないかと思ってます。これから少子化で子供の人口も減って行く中で、どうすればみんなが野球に親しめる環境を作り上げられるか。野球界全体で真剣に議論したり協力したりできるような取り組みも必要だと思ってます。

また、野球はルールが複雑なので、普段から野球に接することが重要になってきます。 僕たちが小さい頃は、お父さんに草野球に連れて行ってもらったり、大人のミットを触ったり、憧れや夢を描きながら見学していました。また、子供同士の遊びでもみんなで野球をすることが普通で、野球を通してルールを教えあったりもしてきました。それが最近はどうでしょう。テレビ中継も減り、公園でもボール遊びが禁止という現状です。そういう意味でも草野球をしているお父さんは今後の野球界にとってすごく重要なファクターだと思っています。

だからこそ、草野球をやっている大人、少年野球を指導している大人には、子供たちの模範となるような行動を実践してほしいと思いますね。子供たちは大人をよく見ています。口だけではなく、ちゃんと背中を見せ、自らが手本となることで子供たちも真似しようとする。

子供たちは純粋です。大人が思っている以上に、野球を大切にしている子供たちはたくさんいます。 また、草野球を楽しんでいる大人も野球界にとって、大切な人材であり仲間であり、指導者だと思います。僕は野球に携わっている人たちみんなが仲間だと思っていますし、それを今後草野球オンラインでも伝えていって欲しいと思います。

僕は野球にたくさん幸せを貰って育てられたので、何か恩返しをしたいと思っています。 野球の先人達は一生懸命野球を育てて、守ってくれたので、その意思を受け継いでもう一度原点に戻してみたいと思っています。

最後になりましたが、今後はこれまでに自分が経験してきたことを日本の野球界に還元しつつ、僕が野球界発展のために貢献できることがあれば、積極的に取り組んでいきたいと思います。




 

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